![20190503n03](http://nba-lover.work/wp-content/uploads/2019/05/20190503n03.jpg)
ケンタッキー州ルイビル出身。
ディアンジェロ・ラッセルは、NCAAディビジョン1のオハイオ州立大学を経て、2015年のNBAドラフトでロサンゼルス・レイカーズから全体2位指名を受けNBA入り。
現在はブルックリン・ネッツに所属している。
高校時代はモントヴェルデアカデミー高校でベン・シモンズ(フィラデルフィア76ers)とともに2年連続同校を全米王者に導いた。
レイカーズ時代はコービーの跡を継ぐ選手として期待を背負っていたものの、数々の破天荒な行動でチームから孤立してしまう。
しかしネッツに移籍後2年目となる今シーズン、彼はついにオールスターに選出され、所属するネッツもプレーオフへ進出。
彼はいかにしてネッツで覚醒することができたのか。
コービーの後継者というプレッシャー
高いシュート力と広い視野を持ち、身体能力に頼らないタイミングとリズムでディフェンスを抜き去る独特のスキルを合わせ持ち、PGとSGの両方をこなす左利きのハンドリング技術に優れたコンボガード。
カール=アンソニー・タウンズ(ミネソタ・ティンバーウルブズ/C)に次ぐ1巡目2位でレイカーズに指名される。
コービー・ブライアント引退後の名門レイカーズの顔となるべく1年時より奮闘し、NBAオールスターウィークエンドではライジングチャレンジスターチャレンジに出場するなど、レイカーズのリーディングプレイヤーとして活躍した。結果的にNBAオールルーキーチーム2ndチームには選出されたものの、期待されていたようなチームとしての爆発的躍進もなかったがまずまずのシーズンを過ごした。
しかしチームやファンは、そこそこのの成績では納得しなかった。
なぜならば、ラッセルのデビューイヤーは、「コービーのラストイヤー」となった記念すべき年。
ラッセルが期待されたのは、「コービーの後継者」になることだったのだ。
裏切り者と呼ばれた男
さらにレイカーズ時代、練習態度の悪さやセットプレーを覚えない姿勢などが目立ちはじめ、コーチ陣から再三指摘されるようになる。
そしてラッセルがチームから完全に孤立してしまう決定的な事件が起こる。
当時のチームメイトだったニック・ヤングとホテルで談笑しているシーンをラッセルは隠し撮り、それを知らずに自身が浮気したことを話すヤングの動画がSNSで拡散されてしまう。
どういう経緯でその動画が流れたのかは不明だが、ラッセルはそうして裏切り者と呼ばれ、チームから完全に浮いた存在になってしまったのだ。
・・・しかし、浮気したのはニックヤングだから、なんとも言い難い出来事だ。
そして2年目のオフ、球団社長マジック・ジョンソンは決断。
「ラッセルはオールスターになれる才能を持っている。だが、私たちが必要としていたのはリーダー。チームメイトから『一緒にプレーしたい』と思わせる人材だ」
と彼の素質は認めながらも、結果、ブルックリン・ネッツへ放出されることになった。
ネッツへ。反骨心からの覚醒。
移籍先のネッツは当時、チーム再建の真っ只中だった。
ラッセルは移籍後のチームミーティングで、ケニー・アトキンソンHCから
「お前を(将来の)フランチャイズプレーヤーとして獲得したわけではない。もちろん、そうなる可能性はある。それは、これからのお前次第だ」
と宣告したという。
レイカーズ時代のラッセルなら、ここでクサっていてもおかしくなかったかもしれない。
しかし、自分の置かれた状況を理解したラッセルは、この日から努力を重ね、少しずつ、そして確実に成長していくとともに、その姿がチームメイトやファンに認められ真のリーダーへと変貌を遂げていったのだ。
もちろん、それはすぐに成績に結びついたわけではない。
移籍1年目となった2017−18シーズンはひざの手術を受けたこともあり、不完全燃焼に終わった。
そして今シーズンネッツは周囲の下馬評を覆し、シーズン42勝と躍進し、カンファレンス6位でプレーオフに進出。
そして76ers(3位)との初戦、ラッセル含む若手の活躍で勝利を収めたのだ。
ゲーム後ラッセルは
「僕はこのチームのオフェンスを信頼している。それがあるあらこそ、僕らはよりよい選手になれる。コーチ(ケニー・アトキンソンHC)がシーズン序盤にルーティーンとオフェンスのパターンを練り上げてくれた。それ以来、流れるようにできているよ」
とコメントしている。
誰もがラッセルの覚醒を目の当たりにした瞬間であったのは間違いないであろう。
ケニーアトキンソンHCとの信頼関係
ラッセルの成長の大きな要因の一つにアトキンソンHCとの信頼関係だ。
ラッセルは、ネッツにトレードされた直後、アトキンソンに厳しい指導を求めた。
これを言っておけばいいだろうという理由だけで同じことをヘッドコーチに求める選手もいるが、ラッセルは違った。
アトキンソンは、彼がターンオーバーを記録すればベンチに下げ、叱責した。
勝負が懸かった第4クォーターにプレーさせないこともあった。
それでもラッセルは不満を言うこともなく、理解しようとしていた。
選手としても人としても成長し始めたラッセルを見たアトキンソンはラッセルとの信頼関係についてこう語る。
「自分の子供と一緒にいるようなもの。少しの自由を与えるんだ。私は、彼が犯すミスのすべてを咎めはしない。もっと長い目で見ている。それだけの信頼関係を築けたんだ。彼自身も、『あの場面ではリバウンドを取るべきだった』、『パスを出すべきだった』と理解している。今のチームのケミストリーは、良い状態にある」
アトキンソンによるチーム再建プランによって信頼できるラッセルというリーダーを得たネッツ。
新天地で評価を取り戻したライジングスターは、いつしか躍進チームの象徴となったのだった。
「今後を楽しみにできるだけのポジティブな空気が漂っているよ。成功と言える1年だったと思う。今季で多くの選手が自身を確立させたことは、今夏、そして来季に向けてもポジティブな材料だ」
と語る。
来シーズン、さらなる高みを目指しプレーオフに進出できるチームから優勝を狙えるチームへと成長することができるのか。
少なくとも今シーズンがラッセルの人生にとっても、ネッツにとってもターニングポイントとなるシーズンとなったことは間違いないだろう。
マリファナ所持で出頭?
ニューヨークのラガーディア空港での手荷物検査の際にマリファナを所持していたことが発覚し、一時空港内に拘留されたのち釈放されたものの裁判所から出頭命令が出された。
せっかくレイカーズ時代の汚名を返上する活躍で、来シーズンの契約に注目が集まるなかこの行動はいささか軽率だ。
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