ビンス・カーター~NBA史上最高のダンカーと呼ばれた男の散り際

昨シーズン引退したダーク・ノヴィツキー、ドウェイン・ウェイドに続き、ビンス・カーターも今シーズン限りでの引退を発表しました。

NBA史上最長となる22シーズン目を迎えているレジェンドは、2019-2020シーズンを最後にコートを去る事になります。

198cmのサイズながら卓越した身体能力とボディバランスを活かしたダンクは、見る者を熱狂させ

「NBA史上最高のダンカー」

の名を欲しいままにしました。

この記事ではカーターのキャリアやNBAに残してきた足跡を紹介したいと思います。

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ビンス・カーターこれまでのキャリア

ノースカロライナ大学時代から有名だったカーターは、1998年にドラフトで5位指名されラプターズに入団しキャリアをスタートさせます。

1年目から活躍を見せ新人王に選ばれると2年目にはオールスターに選出され、今もなお伝説と評されるダンクコンテストでは異次元のダンクを連発し見事優勝します。

2000–01シーズンにはキャリアハイとなる平均27.6点を挙げプレイオフでもチーム初のカンファレンスセミファイナルに進出するなど順風満帆と思われました。

しかし、翌シーズンから怪我に悩まされる様なり徐々に欠場が増えパフォーマンスを落とし始めます。

 

また、チームの成績不振や首脳陣との確執もあり2004年にニュージャージー・ネッツに移籍します。

新天地で調子を取り戻したカーターは、平均27.5点とキャリハイに迫る数字を記録しダブル・ダブルも達成します。

その後は故障する事もありましたが、チームを離れる2010年まで平均20得点以上を持続しました。

2010年からはオーランド・マジック、フェニックス・サンズ、ダラス・マーベリックスへ移籍し年齢とともにベンチからの出場が多くなります。

マーベリックスで3シーズンプレイした後、メンフィス・グリズリーズ、サクラメント・キングス、アトランタ・ホークスと渡り歩きリーグ屈指のジャーニーマンとなりました。

昨シーズンからホークスでプレイしているカーターは、今年の8月に契約延長しスポットシューターや若手の育成などの役割を担っています。

ピークを過ぎてもチャンピオンリングに拘らない1つの信念

カーターのキャリアを持ってしても未だにチャンピオンリングは手にしていません。

通常ある程度の年齢を迎えればチャンピオンリングを手にして引退したいと思う選手が多いです。

しかし、晩年のカーターが渡り歩いてきたチームはプレイオフにも進めないチームばかりです。

これは決して強豪チームから声が掛からない訳ではなく自身が望んだ事で、その理由をインタビューで

「僕はただ、プレーしたいんだ」

と答えています。

強豪チームに移ればリングを手に出来る確率は高くても出場時間は大幅に減るのは間違いありません。

だったら下位のチームでも長くプレイしていたいというのがカーターの信念でありバスケット哲学なのでしょう。

多くのチームに必要とされた適応力と人間性

カーターのキャリアがこれほど長く続いた理由の一つは、多くのチームがカーターを必要としたからです。

そこにはチームに適応できる能力の高さと人間性があると思います。

 

元々派手で豪快なダンクが有名になったカーターは、ペイントエリアでのプレイを好み無理に突っ込む事も多くターンオーバーやミスを連発するような時期もありました。

しかし、年齢と共にダンクが減りシュートエリアを広げる事で新たなバスケットスタイルにチェンジしていきます。

これにより近年はロールプレイヤーとして多くのチームに必要とされていると思います。

 

実際カーターも

「以前の自分の姿から離れられなかったら、次の仕事もなかなか上手くいかないもの。」

とコメントしていました。

 

また、カーターの人間性に関しては敵味方関係なく多くのNBA選手が称えています。

象徴的なのは2018年のウォリアーズとの試合で、当時キングスに所属していたカーターがパトリック・マコーのダンクを止めようと接触した際にマコーがバランスを崩した事で腰を強く打ち担架で運ばれるというシーンがありました。

この時に、怪我の原因を作ってしまったカーターが涙を流しながら見送る姿は強く印象に残っています。

どのスポーツでも言える事ですが、長く続けるには技術だけでなく人間性も大切なんだと思います。

ラストイヤーでカーターが残すもの

 11月末時点でのカーターのスタッツは

出場時間15.5分、5.5得点、0.6アシスト、2.2リバウンド、フィールドゴール率36.5%、3ポイント率25%、フリースロー率83.3%です。

まだ序盤戦なので全体的に低いスタッツですが、2ケタ得点を挙げる試合もあり3ポイントも決まっています。

ホークス自体は負けが先行していて順位も上がってきませんが、トレイ・ヤング、ジョン・コリンズに加えドラフト4位のディアンドレ・ハンターや10位のキャメロン・レディッシュなど成長著しい若手が揃っています。

まだまだ再建中のチームなので、カーターのような経験豊富な選手がプレイヤーとしてだけでなくメンター役として若手の育成を手伝ってくれるのは有意義な事です。

ホークスのプレイオフ進出は現状では難しそうなので、残り時間が限られたカーターのプレイを目に焼き付けておきたいと思います。