優勝候補筆頭のクリッパーズは、ファーストラウンドで勢いがある若手主体のマーベリックスと対戦し4勝2敗で退けたものの苦戦を強いられました。
対するナゲッツはジャズ相手に7戦までもつれる激戦を制しましたが、この疲労がシリーズに影響を及ぼす可能性があるかもしれません。
クリッパーズは中3日、ナゲッツは中1日での試合になり、レギュラーシーズンの対戦ではクリッパーズ2勝、ナゲッツ1勝となっています。
個の力で戦うクリッパーズVSチーム力で戦うナゲッツ
今季クリッパーズはカワイ・レナード、ポール・ジョージを獲得し、優勝を狙える選手をロスターに揃えましたがシーズン序盤から怪我人が続出し72試合のレギュラーシーズンで60試合以上出場できた主力はモントレズ・ハレルとルー・ウィリアムズだけです。
また、スターターに加わったマーカス・モリスや控えガードのレジー・ジャクソンはシーズン途中に獲得している選手なので加入してから日が浅くベストメンバーと言える布陣でのコミュニケーション能力が高くはありません。
個人能力は高い選手ばかりなので1on1で戦える個の力はありますが、日によってパフォーマンスレベルがまちまちなのも現実です。
ナゲッツと戦うにあたってファーストラウンドを見る限り平均32.8点10.2リバウンドを記録したレナードの安定感は抜群なのでフォワードではクリッパーズに分がありそうですが、ジャマール・マレーを爆発させない為にはディフェンスでの労力も割かなくてはならないでしょう。
コートを広く使えるビックマンのニコラ・ヨキッチをどのように抑え得点を減らせるかが大きなポイントになりますが、セカンドユニットの得点力や地力を考えるとクリッパーズ有利は間違いないと思います。
ですが、ジョージが再びファーストラウンドのような不調に陥れば足元をすくわれる可能性もありそうです。
ナゲッツは昨シーズンと同じ顔触れのスターターを起用しているのを見て分かるように、高めたケミストリーを活かしチーム力で戦います。
中心となるのはファーストラウンドで平均26.3点8.1リバウンド5.4アシストを記録したヨキッチです。
ビッグマンながら47.8%と高いスリーポイント率を持っているのでクリッパーズ戦ではここをアドバンテージにしたい所です。
相棒のマレーはファーストラウンドで50得点を2回も叩き出すなどヨキッチ以上に存在感を発揮し勝利に貢献しました。
同様のパフォーマンスを見せられなければクリッパーズに勝つのは厳しいと思います。
ギャリー・ハリスは昨シーズンに比べレギュラーシーズンからスタッツを下げており、怪我の影響で1回戦は第6.7戦しか出場できていません。
ディフェンスを広げる為にもハリスのアウトサイドシュートは必要なので復調して欲しいです。
得点源のウィル・バートンを欠いているので、新加入のジェレミー・グラントや新人のマイケル・ポーターJr、ベテランのポール・ミルサップらの1回戦以上の得点力が必須となります。
得点源が豊富なクリッパーズが優位に
第1戦はクリッパーズの一方的な展開となりました。
1クォーターこそ31-31と競りましたが2クォーターはクリッパーズがブロック・スティールで得点を封じると、レナードを起点に速い攻撃を仕掛けナゲッツを突き放し18点のリードを奪います。
3クォーターも16点に抑えられたナゲッツは為す術がなく最終的に23点差で完敗となりました。
2戦は前戦が嘘のように1クォーターからナゲッツが猛攻を仕掛け44-25と圧倒するとディフェンスではレナードを執拗にマークし流れを渡しません。
その後2~4クォーターはいずれもクリッパーズがリードしたものの、要所でディフェンス力が光り4点以上の差を付けさせなかったナゲッツが1クォーターのリードを守り勝利しました。
また、この日は1回戦から29点以上を取り続けていたレナードを13得点に抑えています。
3戦は正にシーソーゲームという展開になりました。
1クォーターから互いの強みを生かし付かず離れず、2クォーターに入るとクリッパーズにターンオーバーが増えスリーポイントで優位に立つナゲッツが12点差つけますが終盤にヨキッチが立て続けにターンオーバーを犯し2点差まで詰められます。
後半も再び点を取り合い4クォーター終盤まで競りますが、クリッパーズの個人技を止められずファールでのフリースローが増え徐々に点差が広がると最後はディフェンス力でも上回ったクリッパーズが勝利を納めました。
4戦はナゲッツが1クォーターにターンオーバーを連発するとスリーポイントも全く決まらず26-12と突き放されます。
2クォーター終盤にはスリーポイントも徐々に決まり始め8点差まで詰めると、3クォーターには追い付く時間帯もありましたがクリッパーズの厳しいディフェンスに苦しみタフショットが増え再び点差を付けられ試合終了となりナゲッツは後が無くなりました。
不屈の闘志を見せたナゲッツが逆転勝利
5戦は前半からジョージ、レナードが得点を重ねていくのに対しナゲッツはまたもスリーポイントが決まらずリズムが掴めません。
クリッパーズが12点リードして3クォーターに入ると少しづつナゲッツがペイントエリアで得点を重ねるとミルサップの活躍もあり7点差まで詰めて4クォーターを迎えます。
するとここまで入らなかったマレー、ヨキッチのスリーポイントが決まり出し逆転に成功します。
クリッパーズもデュオが連続得点で反撃しますが、ポーターJrのスリーポイントとダンクブロックで勝負あり。
4クォーターで38点を挙げたナゲッツが2勝目を飾りました。
6戦も前半はクリッパーズのデュオが淡々と得点を重ねていくと、ナゲッツもデュオを中心に反撃しますがシュート確率で勝るクリッパーズに離されていき前半で16点のビハインドとなります。
しかし後半に入ると一転、クリッパーズのシュートがことごとく外れ得点が入らなくなります。
対象に後半からスリーポイントを含めチーム全体の確率が上がったナゲッツが猛追を見せ4クォーターには逆転します。
結局後半に35点しか入らなかったクリッパーズが、64点を荒稼ぎしたナゲッツに逆転負けを喫し勝負は7戦に持ち込まれます。
最終戦は前半から一進一退の攻防を見せ、2クォーター終盤にはクリッパーズが11点差を付ける時間もありましたがナゲッツはマレーなどの得点で食らい付き2点ビハインドで後半を迎えます。
3クォーターに入ると得点を重ねるナゲッツに対し、またもシュート確率が落ち始めるクリッパーズ。
最終クォーターもデュオが得点を伸ばせず攻めあぐねる一方、この日40点を挙げマレーが次々に得点を重ねていき終わってみれば15点差を付けたナゲッツが逆転でシリーズを制しました。
崖っぷちから2度も巻き返す驚異の底力
優勝候補に挙げられるチーム相手に第4戦で1勝3敗と追い込まれてから驚異的な粘りでシリーズをひっくり返したナゲッツ。
しかもラスト3戦は全て前半でリードされながら後半に逆転するなど恐ろしいほどの粘り強さを発揮しました。
勿論ヨキッチ、マレーの活躍が大きいですが、ミルサップやグラント、ポーターJr、モンテ・モリスなど日替わりで勝利に貢献したチーム力に軍配が上がりました。
また、1回戦でも1勝3敗から勝利しておりプレイオフ史上2度も1勝3敗から勝ち上がった初めてのチームとなりました。
最終戦でまさかの沈黙となったデュオ
対して勝利間違いなしと思われた状況から3連敗で敗れる失態となったクリッパーズ。
6戦と7戦は後半に35点、33点しか挙げられず、特に7戦ではレナード14点、ジョージ10点と信じられない低調に終わっています。
チームとしてもフィールドゴール率37.8%、スリーポイント率25.7%と低くリバウンドも53-37と圧倒されていました。
この日ナゲッツは20のターンオーバーを犯しており、付け入る隙はあっただけに残念な結果となりました。
※コロナウイルスの影響により同一会場で開催の為、ホーム&アウェイがありません
日付は日本時間
第1戦9月4日
クリッパーズ120-97ナゲッツ
第2戦9月6日
クリッパーズ101-110ナゲッツ
第3戦9月8日
クリッパーズ113-107ナゲッツ
第4戦9月10日
クリッパーズ96-85ナゲッツ
第5戦9月12日
クリッパーズ105-111ナゲッツ
第6戦9月14日
クリッパーズ98-111ナゲッツ
第7戦9月16日
クリッパーズ89-104ナゲッツ
クリッパーズ3-4ナゲッツ