NBA2019-20シーズン プレイオフ進出が叶わなかったチームを振り返る~ニューオーリンズ・ペリカンズ

昨シーズンはチームのエースだったアンソニー・デイビスが、シーズン中にトレードを要求するなど内紛が起こりプレイオフを逃したペリカンズ。

オフにはアンソニー・デイビスがレイカーズに移籍し、トレードで獲得した若手選手とドラフト1位のザイオン・ウィリアムソンを軸に2019-20シーズンを迎えましたが、思うように機能せずウエスタン・カンファレンス13位に終わりました。

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まさかの負傷離脱

デューク大学で怪物のような活躍を見せレブロン2世との呼び声も高かったザイオン。

下馬評通りドラフト1位指名を受けペリカンズに入団するとプレシーズンでは4試合で平均23.3得点、6.5リバウンド、2.3アシスト、1.5スティールを記録し期待通りのプレイを見せつけました。

しかし右膝を痛めてしまい開幕戦を前にまさかの離脱、当初復帰まで68週間と言われていましたが結果的に約3ヶ月後の123日サンアントニオ・スパーズ戦でNBAデビューとなりました。

いきなりスターターで出場すると序盤は試合感を掴むのに苦労していましたが、終盤には3ポイントを4本決めるなど最終的に22得点、7リバウンド、3アシストを18分の出場時間で記録しました。

その後ザイオンは10代で10試合連続20得点超えというNBA史上初の記録を達成し、中断となるまでの19試合で平均23.6得点、6.8リバウンド、2.2アシスト、フィールドゴール率58.9%をマークしています。

チーム史上最悪の12連敗

ザイオンを欠いてスタートした今シーズンは開幕からの10試合で28敗と大きく出遅れると、11月にはフランチャイズ史上ワーストとなる13連敗を記録しました。

平均20得点以上を挙げていたデイビスやジュリアス・ランドルが移籍した影響もありますが、それ以上に痛手となったのは怪我人の続出です。

今季レイカーズから加入しチームで1番の得点源となったブランドン・イングラムやロンゾ・ボール、ジョシュ・ハート、JJ・レディック、ダリアス・ミラー、ジャリル・オカフォーなどいずれも主力のメンバーが怪我を負い9人のロスターで臨んだ試合もありました。

不幸中の幸いだったのがザイオンを含めシーズン終盤に怪我人の多くが復帰した事で、中断前の20試合は119敗と勝ち越し順位を上げ順位決定戦への参加が決まりました。

ディフェンスの崩壊

主力メンバーが揃い順位決定戦を迎えた事でプレイオフ進出に期待が集まりましたが、再開後6試合目の段階で24敗と負け越した為プレイオフ出場が消滅しました。

ザイオンのコンディション不良やロンゾ・ボールの不調が要因の1つに挙げられましたが、最も大きかったのはディフェンス力の低さでしょう。

元々今シーズンはリーグ27位と失点数の多いチームでしたが、再開後は6試合中3試合で120得点以上取られています。

中でも直接順位を争うキングス戦では1Qだけで49点、合計で140点を献上するなど不甲斐ない結果となりました。

また、ターンオーバーの数も大きな課題で今季のリーグ戦では1試合平均16.5回とワーストを記録しています。

順位決定戦でも平均18回ほどマークしていて失点に直接繋がるケースも多く見られました。

これらのスタッツもさる事ながら、後のザイオンがインタビューで

「闘志が足りない」

と語ったようにプレイオフ進出に対するエナジーが感じられませんでした。

ブランドン・イングラムの去就は?

チームは不調ながら今シーズン大きな活躍を見たイングラム。

デイビスに代わりチームの顔となった22歳の若き新エースは62試合全てに先発出場を果たし平均23.8点、6.1リバウンド、4.2アシスト、3ポイント率39.1%と全てキャリアハイの数字を記録しました。

これまで指摘されていたフリースローも67%から85%まで急上昇するなど確かな進化を見せたイングラムには来シーズンもザイオンとのケミストリーが期待されます。

しかし、オフに制限付きFAになるイングラムを欲しがるチームは多いと思いますし再建に乗り出すチームの中にはマックス契約のオファーを出す可能性もあります。

本人はペリカンズを最優先のひとつとコメントしていますが、仮にチームを離れるとなれば来シーズンに向けてチームの方向性は大きく変わる事になるでしょう。

今後の展望

20208月時点ではイングラム残留の可能性が高いので、現状のまま来シーズンの展望を考えると大きな補強は無いと思います。

今季のペリカンズの主力は新加入の選手が多い上、怪我人も続出したのでケミストリーを高めるには難しいシーズンでした。

それでも個の能力は高い選手が多くロンゾは平均11.8得点とキャリアハイを記録。デリック・フェイバーズはスターターとして得点・リバウンドで平均ダブル・ダブル並みのスタッツを記録し、ベテランシューターのレディックも45.3%3ポイント率に平均15.3得点と健在です。

右足アキレス腱断裂で今季全休となったダリアス・ミラーも来シーズンは復帰できるでしょう。

チーム生え抜きガードのドリュー・ホリデー、イングラム、ザイオンを軸に戦い、組織的なディフェンスを構築できれば楽しみなチームになる筈です。