昨シーズンはラッセル・ウェストブルック、ポール・ジョージのコンビがチームを引っ張りましたがプレイオフでは1回戦負けとなったサンダー。
近3シーズンは全て1回戦負けという事もあり、両エースを手放し再建に乗り出しました。
チームはクリス・ポールを獲得し若手主体のチームで臨みましたがウエスタン・カンファレンス5位という好成績で終え、プレイオフでは1回戦でロケッツに敗れています。
サンダーでプレイする事を決めたクリス・ポール
今オフにサンダーが放出したのはウェストブルック、ジョージ、パトリック・パターソン、ジェレミー・グラント、マーキーフ・モリスなど主力メンバーです。
ちなみに昨シーズンはウェストブルック、ジョージ、グラントの3人で平均64点ほど稼いでいました。
一方加入したのはポール、ダニーロ・ガリナーリ、シェイ・ギルジャス・アレクサンダー、マイク・マスカーラで目先の勝利より将来性を考えた移籍です。
年齢を考えても優勝経験のないポールは再建を図るチームではなく優勝を狙えるチームに再移籍すると思われましたが、本人はサンダーでプレイする事を決め
「勝利に向かってプレイするだけさ」
と語りました。
今シーズン最大のサプライズ?
今シーズンのウエスタン・カンファレンスはアンソニー・デイビス、ウェストブルック、マイク・コンリー、ケビンデュラント、カイリー・アービング、ポール・ジョージ・カワイ・レナードといったビッグネームが移籍するなど勢力図が大きく変わるシーズンとなりました。
一方で再建を図るチームも多くサンダーもその中の1チームで、白星を重ねるのも厳しいと思われました。
しかしながら怪我人の続出やケミストリーに苦しむチームを尻目に調子を上げ、終わってみれば昨シーズンの6位を上回る5位でフィニッシュしています。
プレイオフではロケッツ相手に最終戦までもつれる激闘を演じ1回戦を突破してもおかしくない試合を見せており、大きなサプライズとなりました。
若手選手の躍進
開幕戦をポール、ガリナーリ、テレンス・ファーガソン、アレクサンダー、スティーブン・アダムズで臨んだサンダーですが、連敗でスタートすると4戦目にはポールの古巣ロケッツにも敗れます。
11月末には6勝11敗と負け越しており、このままずるずる負けていくかと思われましたが12月に入ると白星が増えていきます。
年末には白星が先行するとリーグ中断までに40勝24敗と大きく勝ち越しました。
起点となったのはポール、アレクサンダー、控えガードのデニス・シュルーダーを同時に起用したスリーガードシステムです。
これはプレシーズンでも試していて、ボールがよく動き攻撃オプションも増えるのでディフェンスは的を絞りにくくなります。
中でも大きな活躍を見せたのが2年目のアレクサンダーで70試合全てにスターター出場すると得点数でチームリーダーとなりました。
1月には史上最年少となる20得点、20リバウンド、10アシストのトリプル・ダブルを達成するなど今後も楽しみな選手です。
また、2ウェイ契約の選手で1月にはスターター起用されたルーゲンツ・ドートはプレイオフでも第2戦から先発出場を果たし平均12.5点を挙げています。
粘り強いディフェンス力が持ち味でハーデンを苦しめるシーンも多く見られ、第7戦ではチームハイの30点をマークしました。
アンドレ・ロバーソンの復帰
若手選手の思わぬ活躍は喜ばしい事ですが、今シーズンのサンダーにはもう1つ嬉しいニュースがありました。
アンドレ・ロバーソンの復帰です。高いディフェンス力で知られるロバーソンは2018年1月に左膝膝蓋腱断裂の大怪我を負い、約2年半もの間リハビリを行いコートに戻ってきました。
ホームコートであれば割れんばかりの拍手で迎えられる所を無観客で残念ですが、サンダーベンチではチームメイトから大きな拍手が起こりました。
長すぎるブランクを取り戻すには時間がかかると思いますが、来シーズンはチームに欠かせない存在となる筈です。
今後の課題
今シーズンのサンダーは大きな成長を見せたアレクサンダーやドート、シックスマンながら平均18.9点を挙げたシュルーダー、スリーポイントを含め抜群の安定感があり平均18.7点を挙げたガリナーリ、平均10.9点、9.3リバウンドを記録しディフェンスでも貢献したアダムズ、彼らを見事に使いこなしサンダーの軸になったポールが主力となりました。
強力なダブルエースがいた昨シーズンから当然得点数は減っていますが、その分失点数も減っています。
そうなると課題になってくるのがベンチ層の薄さで、シュルーダー以外に得点を稼げる選手や自ら得点を取りに行ける選手が必要になります。
チームとしても再建に切り替えた今シーズンの快進撃はある意味想定外だと思うので、オフにどのような補強を行うのか分かりませんが今季以上を狙うなら得点力がマストになるでしょう。