NBA2019-20シーズンはコロナウイルスの影響によりリーグの一時中断や、感染防止の為フロリダ州オーランドにあるディズニー・ワールド内の会場で無観客によるプレイオフが開催される異例のシーズンとなりました。
例年より4ヶ月遅れとなるファイナルの対戦カードは優勝候補の一角であるロサンゼルス・レイカーズと、リーグ全体1位のバックスを破って勝ち上がったマイアミ・ヒートの戦いとなります。
互いにここまで15試合ずつ消化しており、体力的なアドバンテージは無いと思われます。
レギュラーシーズンでは2度対戦していてレイカーズが2勝を挙げていますが、昨年12月の試合でありチームの完成度も大きく変わっています。
ファイナルの展望とポイント
ここまでのチーム平均スタッツがレイカーズ113.9得点106.5失点、ヒート112.2点107.2失点と大きな差はありません。
しかしフィールドゴール率ではレブロン、デイビス、ハワードなどがゴール付近で点を重ねる事が多いレイカーズが49.8%と高くなっています。
また同じ理由でオフェンスリバウンド数が平均10.1と多く、やはりインサイドでは攻守でレイカーズに分がありそうです。
ヒートと対戦する上でポイントになるのがスリーポイントシュートのケアとアデバヨの動きを封じる事です。ヒートはアデバヨ以外全員アウトサイドシュートを高い確率で決めてきますし、控えのタイラー・ヒーローはプレイオフに入って高いパフォーマンスを維持しているので要注意人物です。
アデバヨはセルティックス戦で得点・リバウンド・アシストを量産し勝利のキーマンになった選手なのでハワードやデイビスがどれだけリズムを狂わすかがポイントになります。
また、ここまで絶好調のレブロンですが過去に何度も苦しめられたアンドレ・イグダーラにマークされるシーンが増えると思います。
以前ほどのキレが無くなっているものの怖いベテラン選手である事には違いありません。
ヒートとしてはデュオをどれだけ苦しめられるかが最大のポイントです。
ここまでデイビスが平均28.8点、レブロンが平均26.7点とチームの半分近くの得点を挙げています。
しかし見方を変えればデュオに次ぐ得点源はクーズマの平均10.5点と安定して大量得点を挙げる選手はいません。
身長は劣るもののバトラーとクラウダーはディフェンスの名手でもあるので、レブロン・デイビスのどちらかでもリズムを狂わす事が出来ればチャンピオンリングも見えてくる筈です。
また、オフェンスではスリーポイントが大きな鍵になります。
セルティックス戦で負けた2試合は27.3%、19.4%とスリーポイント率を大きく下げていました。
それだけが敗因ではありませんがダンカン・ロビンソンやヒーローはスリーポイントを決める事で調子を上げる選手であり、インサイドアタックで簡単に得点を取れる相手ではないだけにスリーポイント率は大事になってきます。
第1戦
1quarter
第1戦の立ち上がりはヒートがバトラー、ドラギッチ、アデバヨがテンポよく得点を重ね中盤には13点差を付けます。
レイカーズはデイビスがクラウダーにマッチアップされると厳しいディフェンスに得点が伸びません。
状況を打開すべくレブロンをベンチに下げロンドがゲームメイクをすると自身のスリーポイントやコルドウェル・ポープの得点をアシストし点差を詰めていきます。
また、終盤にはディフェンスも強めた事でヒートの得点が止まるとフリースローやカルーソのスリーポイントで31-28と逆転して1Qを終えます。
2 quarter
2Qの序盤はレイカーズがロンドやカルーソの得点、ヒートはバトラーやヒーローが得点を重ね一進一退の攻防となります。
しかし中盤に進むにつれレイカーズはデイビスがゴール下で強さを発揮しヒートのインサイドアタックを跳ね返し始めると、オフェンスでも得点を重ねリードが広がっていきます。
アデバヨがインサイドで得点できないヒートはスリーポイントを狙いますが、イマイチ確率が上がらずリバウンドも取れません。
対してゴール下で簡単に得点を挙げたレイカーズが34-20と圧倒し前半を65-48で終えます。
3 quarter
何とか活路を見出したいヒートでしたが、ガードで得点源のドラギッチが前半で左足首を痛め負傷離脱するアクシデントが襲います。
ただでさえ得点が取れない状態に加え司令塔まで失ったヒートを尻目にデイビス、ハワードのビッグマンが攻守でゴール下を制圧。
更に中盤にはアデバヨも左手を痛めてベンチに下がります。
その後も苦労して何とか得点を挙げるヒートと面白いようにシュート決めていくレイカーズという構図は変わらず残り6分には85-55と30点差を付けたレイカーズが早くも勝負を決めました。
4 quarter
93-67で迎えた4Qはヒートがケンドリック・ナンを筆頭に得点を重ねます。
主力を下げずに臨んだレイカーズでしたが、大量点差が付いた事もあり大味なプレイが多く終盤には13点差まで詰められましたが最後はレブロンが連続得点を決め116-98で完勝を納めました。
ヒートはドラギッチとデバヨが負傷した上、最後まで出場したもののバトラーも捻挫をするなど幸先の悪いスタートとなりました。
改めて感じるデイビスの存在感
第1戦はヒートが先にリードを奪う展開でしたが3Q中盤には早々と試合を決めてしまったレイカーズ。
中でも存在感を示したのが34点9リバウンド5アシスト3ブロックを記録したデイビスです。
序盤こそクラウダーのディフェンスに苦しみましたが、ゴール下で高さのミスマッチを活かし得点を重ねるとスリーポイントやミドルレンジ、フリースローも沈めます。
シュートが外れても自らリバウンドを取りセカンドチャンスポイントに繋げフィールドゴール率は52.4%を記録しています。
またディフェンスでは、ここまで絶好調だったアデバヨにゴール下で仕事をさせず得意ではないミドルシュートを打たせるなど8得点に抑えました。
デイビスがゴール下を支配した事でヒートはインサイドに入れずアウトサイドシュート一辺倒になるなど攻撃の選択肢を狭め勝利に繋がりました。
もちろんデイビスだけの活躍ではありませんが、その中心となったのは間違いありません。
得点源を失い打つ手なしの完敗
ヒートは3Qに負傷交代となったアデバヨが出場時間21分で8点、前半で負傷離脱したドラギッチが15分で6点、27分出場したロビンソンは無得点とチームの得点源でスターターの3人を合わせても僅か14点に終わりました。
セルティックス戦で大暴れしたヒーローもスリーポイント8本中2本の14点と不発に。
チームのフィールドゴール率は42.7%、スリーポイント率は31.4%と確率は良くないものの絶望的な数字ではありませんでしたが、レイカーズの厳しいチェックもあり流れを変えたい勝負所で決める事が出来ませんでした。
本来攻撃が不調であれば守備で踏ん張り状況を打開するのがセオリーで、実際にレブロンにはダブルチームで対応しアタックを防ぐシーンも何度か見られました。
しかしレブロンやデイビスにディフェンスが集中すればロンドやカルーソ、モリスなどベンチメンバーに空いたスペースでイージーショットを決められてしまいます。
実際に1戦ではこの3人に25点を挙げられました。
得点が入らずイージーショットを決められていれば勝てる筈もなく文字通りの完敗です。
レイカーズ
個人スタッツ
選手 |
出場時間 |
得点 |
リバウンド |
アシスト |
スターター |
(85) |
|||
ダニー・グリーン |
30:32 |
11 |
4 |
1 |
コルドウェル ポープ |
30:26 |
13 |
2 |
0 |
アンソニー・デイビス |
38:04 |
34 |
9 |
5 |
レブロン・ジェームズ |
36:24 |
25 |
13 |
9 |
ドワイト・ハワード |
15:55 |
2 |
8 |
2 |
ベンチメンバー |
(31) |
|||
ラジョン・ロンド |
25:51 |
7 |
3 |
4 |
カイル・クーズマ |
22:03 |
3 |
8 |
2 |
マーキーフ・モリス |
18:37 |
8 |
3 |
1 |
アレックス・カルーソ |
22:58 |
10 |
4 |
2 |
クイン・クック |
1:23 |
3 |
0 |
0 |
チームスタッツ
フィールドゴール率 |
38-84 |
45.2% |
3ポイント率 |
15-38 |
39.5% |
フリースロー率 |
25-27 |
92.6% |
アシスト |
26 |
リバウンド(オフェンス) |
54(9) |
スティール |
7 |
ブロック |
8 |
ターンオーバー |
12 |
ファウル |
19 |
ペイント内ポイント |
38 |
ヒート
個人スタッツ
選手 |
出場時間 |
得点 |
リバウンド |
アシスト |
スターター |
(49) |
|||
ゴラン・ドラギッチ |
15:50 |
6 |
1 |
3 |
ダンカン・ロビンソン |
27:03 |
0 |
4 |
0 |
ジェイ・クラウダー |
25:30 |
12 |
2 |
0 |
ジミー・バトラー |
33:25 |
23 |
2 |
5 |
バム・アデバヨ |
21:10 |
8 |
4 |
0 |
ベンチメンバー |
(49) |
|||
タイラー・ヒーロー |
30:15 |
14 |
4 |
3 |
アンドレ・イグダーラ |
25:23 |
7 |
5 |
6 |
ケンドリック・ナン |
20:49 |
18 |
5 |
2 |
ソロモン・ヒル |
18:02 |
4 |
3 |
0 |
ケリー・オリニク |
18:04 |
4 |
5 |
4 |
デリック・ジョーンズ |
7:29 |
2 |
1 |
0 |
チームスタッツ
フィールドゴール率 |
38-89 |
42.7% |
3ポイント率 |
11-35 |
31.4% |
フリースロー率 |
11-14 |
78.6% |
アシスト |
23 |
リバウンド(オフェンス) |
36(5) |
スティール |
4 |
ブロック |
5 |
ターンオーバー |
8 |
ファウル |
15 |
ペイント内ポイント |
46 |
会場:アドベントヘルス・アリーナ
TEAM |
1Q |
2Q |
3Q |
4Q |
TOTAL |
レイカーズ |
31 |
34 |
28 |
23 |
116 |
ヒート |
28 |
20 |
19 |
31 |
98 |
レイカーズ1-0ヒート