NBA2019-20シーズンを振り返る~トロント・ラプターズ

昨シーズンは球団初となる優勝を果たし、NBAにおいてアメリカに本拠地を持たず優勝した初めてのチームとなったラプターズ。

チームの中でも素晴らしい活躍を見せファイナルMVPに輝いたカワイ・レナードでしたが、今オフにクリッパーズへ移籍となりシューターのダニー・グリーンもレイカーズへ移籍。

しかしチームは目ぼしい補強をせず、昨シーズンのメンバーで臨む事になり順位を落とす事が予想されましたが終わってみれば堂々のリーグ2位という好成績で終えました。

しかし、プレイオフでは2回戦でセルティックス相手に敗れ連覇は叶いませんでした。

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パスカル・シアカムが新たなエースへ

昨シーズンレナードが記録したスタッツは平均26.6点7.3リバウンド3.3アシストでプレイオフでは30.5点をマークしていました。

グリーンは平均10.3点を挙げスリーポイント率は45.5%を記録しています。

また、この2人はディフェンス力が高い事でも知られ攻守でチームに貢献できる選手でした。

今季からチームのエースとなったシアカムはペイントエリアで得点を挙げる選手ですが、アウトサイドシュートも上手くディフェンス力にも優れた選手です。

昨シーズンはレナードの陰に隠れる印象となりましたが順調に成長を見せていて、今季は平均22.9点7.4リバウンド3.5アシストと全てキャリアハイを記録していています。

エースになったとはいえシアカムがレナードの代わりを務める訳ではなく、メンバー皆でチームの底上げをした事で今季の成績へ繋げました。

実際得点面で見ればカイル・ラウリーは平均14.2点から19.4点、フレッド・バンブリートは平均11点から17.6点、ノーマン・パウエルは平均8.6点から16点と大きく上げています。

強固なディフェンス力

ラプターズが高めたのは得点力だけでなく平均スティール、ディフェンシブ・レーティングがリーグ2位、平均失点がリーグ1位のディフェンス力です。

元々シアカム、ラウリー、イバカ、アヌノビーなど個々のディフェンス力は高い選手が多いチームですが、相手や時間帯によって作戦を講じるニック・ナースHCの手腕も大きいです。

ラプターズがチーム力を高められたのはハードワークをいとわないタフな選手が多い事もありますが、何よりディフェンディングチャンピオンとして1人の選手が退団したから弱くなったと言われるのはプライドが許さないという気持ちが強かったからではないでしょうか?

怪我人を出しながらも強さが光ったラプターズ

今シーズンはレギュラーシーズンを53勝19敗でイースタン・カンファレンス2位となったラプターズですが、全72試合中ラウリー58試合、バンブリート54試合、シアカム60試合、イバカ55試合、マルク・ガソル44試合の出場と主力選手が怪我で欠場する事が多くありました。

それでも72試合に途中出場しているテレンス・デイビスを始めホリス・ジェファーソン、クリス・ブーシェイなどベンチメンバーを起用し勝利に繋げました。

中でもドラフト外ルーキーのデイビスは31得点を挙げた試合もあるようにチームの期待に応えています。

1月半ばにはチーム最長となる15連勝を記録しオールスターブレイクまでに40勝を挙げるとリーグ中断時には46勝18敗となりました。

順位決定戦でも7勝1敗と絶好調だったラプターズは昨シーズンと同じ2位を確保し、プレイオフ1回戦でネッツと対戦します。主力を怪我で欠くネッツを相手に危なげなく勝利を重ね第4戦では150点を挙げスイープで勝ち進みます。

2回戦はイースト3位のセルティックスと対戦しますが、1.2戦を連敗で落とします。

続く3.4戦では守備を徹底し連勝で持ち直しましたが5戦で敗北。

後がなくなった6戦はダブルオーバータイムに突入する接戦を勝ちとりましたが、最終戦では一歩及ばず破れ連覇の夢は潰えました。

チームの課題

レギュラーシーズンではチームで戦い強さを発揮してきたラプターズでしたが、プレイオフでは現状チームの課題も見えてきました。

セルティックスに敗れた要因の1つがシアカムの不調です。

レギュラーシーズンでは平均22.9点をマークしていましたがセルティックス戦では平均14.9点まで落としており、無理に攻め込もうとしてターンオーバーを犯すシーンも増えていました。

レギュラーシーズンと違いプレイオフでは得点源を抑えられるかが勝利の鍵となる為、エースを徹底マークするのが当たり前でセルティックスのような守備の良いチームなら尚更厳しくマークします。

今シリーズのシアカムは第5戦10点、第6戦12点、第7戦13点と特に大事な局面で得点を抑えられてしまったので、ここが今後の課題になりそうです。

また、昨シーズンに比べ攻守においてガソルの存在感が無くなったのも大きいと思います。

昨季も今季も全てスターターで出場していますが得点、リバウンド、ブロック数と全て低くなっています。

ガソルといえばゴール下でのブロックやポストプレイ、スリーポイントまでこなせる技巧派ビックマンでしたが、今季は出場時間も短くフィールドゴール率39.1%、スリーポイント率18.5%と低確率で守備の貢献もほとんど見られませんでした。

ビッグマンの立て直しも課題となりそうです。

今後の考察

昨季からレナードを失い、大きな補強を行わなかったにも関わらずリーグ1位のディフェンス力をキープしプレイオフにも出場したラプターズ。

エースの不調がありながらセルティックスをあと一歩の所まで追い詰めたのは流石の一言に尽きますが、優勝を狙うには補強が必要になると思います。

先程触れたガソルは35歳になり、ベンチから出てくるビックマンのイバカも30歳で今季は怪我を負いながらの出場だった事を考えると新たなビッグマンが欲しい所ではないでしょうか。

また、ラウリーも怪我で欠場する事が多いのでバンブリードやパウエル以外に得点を期待できるガードがいれば安心です。

ディフェンス力を保ちつつベンチ層の底上げを図った上で来シーズンに臨めれば優勝を狙えると思います。