NBA2019-20シーズンを振り返る~ヒューストン・ロケッツ

昨シーズンはカンファレンス準決勝でウォリアーズと対戦しデュラントが欠場した第6戦で勝ち切れず敗退となったロケッツ。

毎年上位でプレイオフに進出しながらもウォリアーズに泣かされ続けてきました。

今季はオフにクリスポールを放出しジェームズ・ハーデンの新たな相棒としてラッセル・ウエストブルックを獲得。

どちらもボールを持ちたがるプレイスタイルなのでコンビとして機能するのか不安視されましたが、ウエスタン・カンファレンス4位でレギュラーシーズンを終えます。

プレイオフでは2回戦でレイカーズと対戦し敗れました。

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歴史的なデュオに

ハーデンは2017–18シーズンにMVPを獲得し、2018–19シーズンと今シーズンも最終候補に選ばれています。

また、2年連続で得点王を受賞しているなど個人成績ではズバ抜けた結果を残している選手です。

ウエストブルックは2014-15・2016-17シーズンに得点王、2016-17シーズンにMVPを獲得しており、3季連続の平均トリプル・ダブルを達成するなどハーデンに負けず劣らずの能力を持っています。

どちらも高すぎる個の能力の持ち主故に1人よがりなプレイに走る事もあり、同じチームでの共存は難しいのではないかと思われましたがチームはリーグ4位と好成績を納めました。

今季のスタッツを見るとハーデンは平均34.3点6.5リバウンド7.5アシストと昨年とほぼ同じスタッツで、ウエストブルックは平均27.2点8リバウンド7アシストとリバウンド、アシスト数を落としています。

とはいえ得点数は近2年より増えていますしフィールドゴール率はキャリアハイの数字を残しています。

ウエストブルックは今までのプレイスタイルを変えた訳ではなく、ボールを持ったらペトレイトを仕掛けミドルシュートやレイアップ、スキップパスが基本ですが、大きく変わったのは無理に攻撃を完結させる必要が無くなったことです。

これまでは自分が何とかしようと無理なシュートやパスを重ねていましたが、今は自分より得点を挙げるハーデンがいるので本来のリズムでバスケットが出来ます。

今季2人が記録した得点を合わせると平均61.5得点となり1976年以降最高のスコアをマークしたデュオとなりました。

シ-ズン途中にシステムチェンジ

今シーズンは序盤にエリック・ゴードンが膝の手術のため離脱しますが、持ち前の得点力で勝利を積み重ねます。

30勝を挙げて迎えた2月にはビッグマンのクリント・カペラやジェラルド・グリーンを放出しロバート・コビントン、ジェフ・グリーン、デマーレイ・キャロルを獲得。

平均13.9点13.8リバウンドを記録するカペラを放出するのはもったいない気がしますが、ロケッツはウエストブルックの加入によりスピード重視の攻撃に切り替えコビントンを新たなスターターに起用しスモールラインナップにシフトチェンジしました。

プレイオフへ

リーグ中断時点で40勝24敗の6位となったロケッツでしたが今季はゲーム差が拮抗しており、順位決定戦次第では上にも下にも推移する状態に。

ところがゴードンが足首の負傷で再び欠場となり最後の2試合には出場したものの8試合を4勝4敗で終え最終的に4位でプレイオフに進みます。

1回戦はウエストブルックの古巣であるサンダーと対戦しますが、ウエストブルックの負傷離脱もあり7戦までもつれる接戦となります。

最後まで苦しみながらもサンダーを退けたロケッツは2回戦で優勝候補のレイカーズと激突します。

第1戦はスモールラインナップを活かしたスピード勝負でレイカーズを翻弄し勝利を挙げましたが、2戦からはゴール下に近づかせない高さを活かしたディフェンスに立て直したレイカーズに攻め手を失ったロケッツは得意のスリーポイントも鳴りを潜め4連敗で敗れました。

スモールラインナップの限界

近年でスモールラインナップといえばウォリアーズがプレイオフで起用したデスラインナップが思い出されます。

しかしウォリアーズの場合、通常ラインナップも使用しつつ勝負所でデスラインナップに切り替える使い分けを行い優勝しました。

一方ロケッツはカペラを放出しスモールラインナップをスタンダードなシステムにした為、攻め手を欠いた時に打つ手がなくなってしまいました。

確かにスピード感に優れた速攻や全員がスリーポイントを狙えるスモールラインナップは爆発力を生み出しますが、レイカーズのような動けるビッグマン相手には脆さも出てしまいます。

実際プレイオフではハーデンには必ずダブルマークを付け、スリーポイントラインに配置しているゴードン、タッカー、コビントンにパスが渡ればスイッチでディフェンスしシュートを打たせてもらえませんでした。

ウエストブルックに対してはスリーポイントを打たれても構わない距離感でマークし、ミドルシュートとペネトレイトには厳しくチェックするディフェンスを敷きました。

この結果ロケッツはハーデンでさえインサイドアタックをすればブロックされ、確率の悪いスリーポイントやフローター、タフショットを打たされ得意の速攻はほとんど見られませんでした。

レイカーズのディフェンスが素晴らしかった事もありますが、常にスモールラインナップで戦うには限界があるかもしれません。

今後の考察

ウエストブルックを獲得して臨んだ今シーズンもカンファレンス準決勝に止まったロケッツ。

個人スタッツでは他を寄せ付けない圧倒的な数字をマークしているハーデンはチームを優勝に導く事は出来ませんでした。

ウエストブルックはプレイオフでは怪我や徹底マークでスタッツを落としましたが、ハーデンと共存できる事は証明できましたしチームにエナジーをもたらしました。途中加入のコビントン、グリーンもチームにフィットし、プレイオフでも大きな活躍を見せています。

タッカーは身長の低さを感じさせない力強いディフェンスと0度からのスリーポイント率の高さで存在感を発揮し、ゴードンは怪我に苦しんだシーズンでしたがプレイオフでは平均18.5点とチーム3番手のスコアラーとして活躍しました。

来シーズンも基本的に主力選手は変わらずオースティン・リバースやベン・マクレモア、シーズン途中に契約したディフェンス力のあるルーク・バーアムーテなどがベンチメンバーになるでしょう。

問題はプレイオフの結果を踏まえてビックマンを補強するのかです。

仮にスモールラインナップをメインにするにしても37歳のタイソン・チャンドラーだけでは心もとないのでロールプレイヤーのビックマンはやはり必要だと思います。