クリス・ポール、ブレイク・グリフィン、デアンドレ・ジョーダンのロブ・シティが解体となり全く異なるチームになったクリッパーズでしたが、昨シーズンはプレイオフに出場しウォリアーズ相手に2勝するなど予想外の健闘を見せました。
今シーズンはカワイ・レナード、ポール・ジョージというリーグ有数のスター選手を獲得した事で優勝候補に挙げられるチームになりウエスタン・カンファレンス2位でプレイオフに出場しましたが、セカンドラウンドでナゲッツに敗れました。
スターターからベンチまで分厚いラインナップに変貌
オールスター選手が移籍市場を賑わせた今オフの中でも大きな注目を集めたレナード、ジョージ。
このデュオ最大の魅力はリーグトップクラスの得点力とディフェンス力をお互いが兼ね備えている事です。
レナードは昨季ラプターズで平均26.6点を挙げチームを優勝に導きファイナルMVPを獲得。
ジョージはサンダーでエースとして平均28点を記録しています。
強力なデュオである事は明らかですが、今季クリッパーズが優勝候補に挙げられる理由は2人の加入だけではなくロスターの顔触れにあります。
ガードのパトリック・ベバリーは得点力こそありませんが、しつこいディフェンスが持ち味で相手を挑発するのも得意です。
ルー・ウィリアムズは得点力に長けた控え選手でシックスマン賞を3度受賞しているベテランです。
そのルーと同じレベルの得点力にディフェンス力も高いモントレズ・ハレル、スリーポイントが得意で平均2ケタ得点を挙げるマーカス・モリス、派手さは無いもののミスが少なく得点も取れるレジー・ジャクソンなどが揃っています。
難航するチームケミストリーの構築
リーグトップクラスのロスターを揃えたクリッパーズでしたが、チームケミストリーを築くには時間を要しました。
その大きな原因が怪我人の多さです。
今季のレギュラーシーズンでは72試合中70試合に出場した先発センターのイビツァ・ズバッツを除けば60試合にも満たない主力選手が多くベストメンバーで臨める試合が少なかったのです。
ジョージはオフシーズンに右肩を手術した影響もあり48試合の出場に止まり、左膝の怪我でレナードは57試合の出場となりました。
特にレナードは2016-17シーズンに負った怪我の影響もあり左膝の負傷を理由に欠場する事もありましたが、これが疲労による休養だと判明しリーグから罰金処分を受ける事もありました。
スパーズ時代には怪我の状態に関してチームと意見が食い違い結果的に退団した(と思われる)経緯があるだけにクリッパーズとしても慎重にならざるを得ないのかも知れません。
シーズン終盤にかけて上がり調子に
開幕戦で同じく優勝候補に挙げられているレイカーズに勝利したものの、その後は勝ち負けを繰り返すクリッパーズ。
12月、1月と勝ち星は積み上げていきますが20点差を付けて勝つ試合があれば20点以上離されて負ける試合もあるなどイマイチ波に乗り切れません。
また、1月にはハレルがチームの現状や雰囲気に対して公に否定的なコメントをするなどフラストレーションを露わにしました。
同時期にはレイカーズが絶好調で1位を独走していたのも要因かも知れません。
しかし、クリッパーズもオールスター明けからリーグが中断になるまで7勝2敗と調子を上げると順位決定戦ではハレルやビバリー、ルーなどが欠場する試合もありましたが5勝3敗と勝ち越しレギュラーシーズンを2位で終えました。
まさかの逆転負け
プレイオフのファーストラウンドはドンチッチ、ポルジンギス擁するマーベリックスに手こずりましたが、4勝2敗で下しセカンドラウンドに。
カンファレンス・セミファイナルではウエスタン3位の強豪ナゲッツと対戦し第4戦を終わって3勝1敗と王手をかけました。
しかし5戦では4クォーターに38点を許し逆転負けすると、6戦では後半にシュートが決まらず35点に止まり連敗。
最終戦ではデュオが合わせて24点しか挙げられず、またも後半で33点と自慢の攻撃力が鳴りを潜め悪夢の3連敗でプレイオフ敗退となりました。
敗因は?
今季クリッパーズが3連敗したのはレギュラーシーズンに1度ありますが、ジョージを怪我で欠いていた試合だった為、デュオが揃って3連敗したのはナゲッツが初めてです。
確かにナゲッツは強いチームでしたが1~4戦を見る限り地力ではクリッパーズが勝っていましたし、5~7戦も前半ではクリッパーズがリードしていました。
個人的に思う敗因はデュオに攻撃を任せ過ぎたのではないかという事です。
チームとしての考えなのか個々の考えなのかは分かりませんが、基本的に個人技がメインのチームなので得点能力の高い2人にボールを預ける時間が長すぎたのではないでしょうか。
なので結果的にルーやハレルの得点も下がりチームのシュート確率も伸びず、挙句デュオも最後はガス欠のような状態になったと思います。
7戦はレナードがフィールドゴール率27.3%、ジョージ25%と信じられない低確率でジョージはターンオーバーを5つ記録しています。
また、負けたら終わりの最終戦で2人合わせてフリースローを1本しか打っていないのもタフに攻められていない証拠です。
今後の考察
優勝候補に挙げられながらもカンファレンス準決勝で敗れたクリッパーズ。
とはいえデュオ迎えて1年目のシーズンですし、怪我人が多くチームケミストリーを構築し切れなかった事を考えれば来シーズンに期待が持てます。
問題なのは今オフにハレルとモリスがフリーエージェントになるので再契約するのかという事です。
ハレルはルーと並ぶチームの得点源ですし、モリスは途中加入ながらもプレイオフではスリーポイントを中心に得点を重ねデュオに次ぐ出場時間を与えられていました。
来季は新たな優勝候補も増えそうですし万全な戦力を確保して臨みたい所です。